パター選びの新基準:4つのアライメントタイプと最適パターの選び方
PINGのラボでは、優れたエンジニア、研究者、マスターフィッター、そしてフィッティングサイエンスの専門家たちが、みなさんのゴルフをレベルアップさせる最新の製品やフィッティングテクニックを開発しています。ここでお届けするのは、最先端のツールを駆使して、ゴルフギアの性能に関する科学を解明し、そしてそれを紐解くこと。この記事を読めば、ギア選びの基準が明確になり、PINGのギアを選ぶ際に最適なパフォーマンスを引き出すための的確な判断ができるようになるでしょう。
Designed to Align
正確に構えるためのデザイン
ポール・ウッド博士
パッティングは、ゴルフにおいて最もシンプルな動作の一つです。その良し悪しは、①ボールの打ち出し方向のコントロール、②スピード調整、③グリーンの読みの3つに集約されます。PINGはそもそも、パターヘッド内のウエイトを分散させて慣性モーメント(寛容性)を高め、オフセンターヒットでも芯に当たった時に近いスピードでラインを転がるようにするというエンジニアリングの原則に基づいて設立されました。近年では、インサートや溝の研究がさらに進んでおり、フェース全体で一貫したスピードを実現し、距離コントロールを向上させています。そして、パッティングにおけるスピードコントロールの技術は、今も進化し続けています。
安定して狙ったラインにボールを転がすために、パターにはどのような役割があるのでしょうか?「どのヘッド形状やアライメント機能なら、ターゲットに正確に狙えるのか?」これはゴルファーによって千差万別です。つまり、アドレスした時に、完璧にスクエアに構える必要はなく、実際、世界中のパットの名手ですら、アドレスでややズレて構えていることがほとんどなのです。重要なのは、狙ったラインに対して安定してボールを転がせるかどうか。「ヘッド形状、色、パターの機能がアライメントにどんな影響を及ぼすのか」を理解することは、エンジニアリング、心理学、生理学の分野でもあります。PINGでは、視線追跡メガネ(ストローク前・中・後にゴルファーの視線がどこに向けられているかを正確に測定できるツール)を使い、この分野のプロと協力してこの気になるネタを深掘りすることで、より高度な研究を進めています。
今回PINGでは、「アライメント機能ごとに優れたパフォーマンスを発揮するゴルファーを分類するために使える法則」を見つけることを目的とした研究を行いました。多数のゴルファーに、さまざまな形状、サイズ、色、アライメント機能があるパターを試してもらいその結果を分析。そして「クラスター分析」という手法を用いて、類似した好みやパフォーマンスの傾向を持つゴルファーをグループ化しました。例えば、「ジョンさん」と「ジェーンさん」は、最適なパターのアライメント機能がすごく似ているので同じ「クラスター」になるということが分かるわけです。その結果、殆どのゴルファーが、4つのアライメントタイプ(ターゲットを狙う上で使う主な特徴に基づくもの)に分類されることが分かりました。
4つのアライメントは以下のとおりです。
アライメントタイプ1

トップレールをアライメントとしているゴルファーは、通常、この垂直方向のアライメント機能をその後ろ側にある小さなライン(左側のパター2本にあるようなライン)と組み合わせて活用していますが、時にはシンプルなドットや何もない方が良いと感じることもあります。また、「トップレールはできるだけシンプルな方がいい」ともしており、彼らにとって余計なラインや形状は、気が散る要因にもなることがあります。
アライメントタイプ2

このタイプのゴルファーは、ボールの幅に合わせたアライメント機能を活用しています。例えば、ボールと同じ幅で配置された平行のラインや、上の画像にあるFETCHの中央にある穴のような、視覚的ガイドとなる形状がこれに該当します。一部のブレードパターにも、KUSHIN(上記画像)にあるようにボール幅に合ったアライメントラインが施されています。またこういったタイプのゴルファーは「このパターは、ボールをしっかりフレームしやすい」と表現することもあります。
アライメントタイプ3

マレットパターを好むゴルファーは、長いアライメントラインを重要視する傾向があります。長いラインが邪魔になると感じるゴルファーもいますが、このタイプのゴルファーにとっては、正確なアライメントのための重要な要素となります。また、こうしたゴルファーからは「このパターなら自然に正しく構えられる」といった声もよく聞かれます。
アライメントタイプ4

このタイプのゴルファーは、ボール位置まで一直線に伸びるアライメントを備えたパターでベストパッティングを実現しています。彼らからよく聞こえてくるのは「トップレールがむしろ正確なアライメントには邪魔」という声。数年前までこのタイプのパターは少なかったのですが、今では上の画像のようなデザインが誕生しています。長年の研究により、多くのゴルファーが「このパターはしっくりくる」と感じる理由を深く考えていないことが分かっています。とはいえ、ゴルファーが、4つあるアライメントタイプの中でどれが自分に一番合うかということを少しでも意識すれば、たくさんあるパターの中から適したものを絞り込むお手伝いはできるはず。私たちの調査でも、「ゴルファーが、簡単にアライメントできると感じればパフォーマンスも向上する」という傾向が確認されています。つまり、自分の感覚に自信を持つことが大切ということですね。

一方、多くのゴルファーは複数のアライメントタイプにも適応できると感じており、実際、多くのパターは2つまたは3つのアライメントタイプを満たしています。つまり、PINGのデザインチームは、それぞれのアライメントタイプに合うパターを提供しているだけでなく、すべてのストロークタイプ(ストレートに引いて真っすぐ打つタイプから、アークの強いタイプまで)や、ヘッドの重さのバリエーションも考慮して、安定したショートパットや繊細なロングパットをサポートできるようにしているのです。
パター選びの際、多くの選択肢に圧倒されることもあるでしょう。しかし、この記事を通じて、あなたに最適なアライメントタイプを見つけ、そして他のフィッティング要素と組み合わせることで、最終的に“Play Your Best”を実現していただければ幸いです。

「WEBFIT PUTTER」

【パターフィッティングバナー】
ポール・ウッド博士
エンジニアリング・バイスプレジデント
クラブ設計、製品開発、イノベーション、テスト、試作、製造技術を担当する部門を統括。スコットランドのセント・アンドリュース大学で応用数学の博士号を取得後、2005年にPINGに入社すると、リサーチエンジニアとしてキャリアをスタートし、ボールの弾道物理やクラブとボールのインパクト、その他ゴルフ科学を研究。また、iPINGとnFlightフィッティングツールの開発チームの一員としても活躍した。
2025/01/07 19:11