シャフトはハードに、ヘッドはやさしく
★みなさん、こんにちは。
ピンゴルフジャパン フィッティングスペシャリストの藤川です。
2月末からおよそ3ヶ月間におよぶロングランフィッティングイベント、ゆけゆけG430キャラバン隊が終了しました。
このイベントはピンゴルフジャパンのフィッティングスペシャリストが日本全国47都道府県をまわり、各地でフィッティングの重要性・必要性を伝えていくというものです。
ピンの認定フィッター在籍店は、日本全国に約750店舗ほどあり、各店でも同じようにフィッティングしてピン製品をオーダー頂くことができます。
ピンのフィッティングプロセスは、全世界で共通化されたシステムです。
フィッティングに興味を持たれた方は、ぜひお近くの認定フィッター在籍店へ足をお運びください。
★今日はイベントで出会ったお客様のご紹介です。
自分に合ったゴルフクラブ選びは難しい、と思っている方に参考になるかもしれない事例をご紹介します。
使っていらしたドライバーはG410PLUSで、シャフトはALTA J CB REDのSが装着されていました。
悪くは無いんだけど、もうちょっと安定感が増して飛距離も伸びてくれたら、というなかなか贅沢なお悩みでした。
まず何球か打っていただくと、確かに左右のバラつきはそれほど大きくないものの、ヘッドスピードの割にはボール初速が出ておらず、スピン量も多いので、飛距離はまだまだ伸びしろがありそうでした。
では使用中のG410に近いスペックで新作を試してみましょうという事で、G430MAX 9°にALTA J CB BLACK Sを装着して打っていただきました。
近しいスペックなので似たような結果でしたが、G430の『快音』はかなり気に入られたご様子。
スピン量はG430でもやや多かったので、シャフトを少しずつハードにしてみましょうかと、TOUR 2.0 CHROME 65をR→S→Xと試していきます。
どんどん振りやすくなるというので、TOUR 2.0 BLACK 65Xもさらに試していただきました。
ヘッドスピードは40m/sほどなので一般アベレージゴルファーですが、ハードにするほど振りやすくなるそうで、TOUR 2.0 BLACK 65Xに対してこんなに振りやすいシャフトは初めてだと小さな感動を覚えていらっしゃいました。
★ヘッドスピードが速い人は硬いシャフト、というのはあくまで一般論です。
一般的にヘッドスピードが遅い人は軟らかいシャフトが良い、逆に速い人は硬いシャフトが良いと言われますが、あくまでもそういう傾向があるというだけです。
その理由を考えてみると、ヘッドスピードが速いほどインパクトの瞬間のボールとフェース面の摩擦が大きくなるので、ボールにかかるバックスピン量が多くなります。
バックスピン量が多くなり過ぎればボールが吹け上がって前に飛びませんから、そのスピン量を抑える目的でヘッドスピードが速いゴルファーが硬いシャフトを使う傾向にあります。
ただしその方のスイングによってはヘッドスピードの割にボールが上がりやすいという方はいますし、硬いシャフトの方がタイミングが取りやすいという方もいます。
今回のお客様も、シャフトが硬い方がシャフトが余計な動きをせずに、自分のタイミングで振りやすいというだけのことでした。
一方でヘッドスピードが速くない方が硬いシャフトを使う事のデメリットとして考えられるのは、先述の通りバックスピン量が減ったり、打ち出し角が低くなったりして、ボールが上がりづらくなってしまう事です。
『ボールが上がりづらい=ハードなシャフト』というフィーリングになってくるのです。
★シャフトで出来ないことはヘッドにしてもらいましょう
G430MAX9度、TOUR 2.0 BLACK 65Xというスペックでは確かにボールが上がりづらく、スピン量が2000回転を切ってしまうドロップするような打球もありました。
しかしお客様の「振りやすい」という感覚は捨てたくないので、ヘッドの方をボールが上がりやすいように調整していきましょう。
ドライバーヘッドはロフト角が選択できますので、単純に9度から10.5度、さらに12度と増やして試してみます。
ロフト角を12度まで増やすことで、打ち出し角が13~14度程度、スピン量は2500回転前後になり、飛距離を稼ぐのに最適な高さになってきました。
振り返ってお客様のマイクラブであるG410PLUSと比較してみると、およそ20ヤードほどの飛距離アップになっていました。
このような結果は極端な例ではありますが、先入観を一度捨てていろいろなクラブを打ち比べてみると驚きの結果が得られるかもしれません。
またヘッドとシャフトはそれぞれに違う役割を持っていますので、『シャフト探し』というのはフィッティングの一部分でしかない事をご承知ください。
2023/06/08 12:00