バンカー脱出に最適なロフトは何度?
★みなさん、こんにちは。
ピンゴルフジャパン フィッティングスペシャリストの藤川です。
お客様からとある質問を受けたので、その回答をここで考えてみたいと思います。
お客様からの質問は次の通りです。
『バンカーが苦手なのですが、56度と58度のどちらが良いでしょうか?』
せっかくなので皆さんも考えてみてください。
答えはもちろん「人それぞれ」です。
ここはフィッティングブログなので当たり前なのですが、ではどのような人が56度で、どのような人が58度がいいのか考えてみましょう。
そのためにまず、なぜバンカーから脱出できないのかという原因を探りましょう。
バンカーから脱出できない原因は、大きく分けて次の2つの要因が考えられます。
★1つ目はバンカーの砂を飛ばせないという要因です。
バンカーショットはボールを直接打つのではなく、砂ごとボールを飛ばす必要があります。
バンカーでは芝生の上よりも砂の抵抗が大きいので、より大きな力が必要です。
この大きな力が出し切れずに、ボールが前に飛ばなくて脱出できないというのが1つ目の要因です。
この場合は前にボールを飛ばしたいわけですから、ロフトが立っているクラブを使った方が脱出しやすいわけです。
58度よりは56度ですが、56度でもロフトが寝過ぎかもしれません。
というのもPINGのサンドウェッジは54度で設計されています。
G425アイアンの製品ページを見てもらえば分かりますが、サンドウェッジのロフト角は54度です。
そして58度はロブウェッジという表記になっています。
G425に限らず、2004年に発売されたG2に始まり、Gシリーズのサンドウェッジはずっと54度なのです。
ロフトが細かく選択できるGLIDEシリーズのウェッジにおいても、54度と56度がサンドウェッジであり、58度以上のクラブはロブウェッジという位置付けなのです。
54度で高さ足りるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、背の高さを大きく超えるようなアゴでなければ、54度でも全く問題ありません。
訝しいと思う方は、一度ピッチングウェッジや9番アイアンでバンカーから打ってみてください。
思っているほど難しくは無いということに気付くことでしょう。
★もう1つの要因は、逆に飛ばし過ぎてしまうという事です。
いわゆる“ホームラン”というミスは皆さん経験があると思います。
“ホームラン”を怖がって緩んだインパクトをしてしまえば、当然砂を飛ばすことができないので、バンカーから脱出できないというミスになってしまいます。
こうしたミスの傾向にある方の場合、最初から飛ばないクラブで打ってみるのはどうでしょうか。
それがロフトの大きなロブウェッジというわけです。
ロフトが大きくなればなるほど、クラブを振っても前ではなく上に飛ぶようになっていきます。
上に飛ばすというイメージのしやすい方は、58度や60度といったロフトの大きい方がお勧めです。
振っても振っても上に飛ぶだけですので、大きく距離を出すことはできません。
逆に言えば距離のあるバンカーショットでは届かないという事もあります。
結局のところ、バンカーショットにおいても残り距離に応じてクラブという選択する必要があるのです。
バンカーに入ったら必ずこのクラブという「バンカー専用ウェッジ」を考えている方もいますが、バンカーショットでも距離を打ち分けることが当然必要です。
振り幅や飛ばす砂の量で打ち分けるのも1つのテクニックですが、同じ打ち方でロフトを変えて対応するというのもシンプルです。
近年44~45度程度のピッチングウェッジが一般的になってきたことで、50-54-58という3本体制でウェッジをセッティングする方が増えたように思います。
54度がアプローチ用で、58度がバンカー用、またはその逆という方がいますが、杓子定規にクラブを選択するのではなく、場面に応じて選択しましょう。
バンカーショットでもボールからピンまでの距離、グリーンのエッジからピンまでの距離、アゴの高さ、左足下がりなのか右足下がりなのか、状況は様々あるのです。
「バンカーショットに最適はウェッジは?」という問いに対し、その答えは様々だということが分かりました。
バンカーショットの打ち方、ミスの傾向、そしてバンカーの状況というのが様々ですので、ご自身にとってその場面で使いやすいものを見つけてください。
2022/07/01 12:00