スピン量だけを気にしてはダメですよ。
★みなさん、こんにちは。
ピンゴルフジャパン フィッティングスペシャリストの藤川です。
すっかり年の瀬ですね。今回が今年最後のブログ更新となります。
9月から始めたブログですが、たくさんの方に読んでいただきありがとうございます。
★今回も前回に引き続き弾道計測器のデータの見方についてというテーマです。
前回はボール初速が非常に大切ですというお話でした。
ついつい自分のヘッドスピードが気になってしまうと思いますが、ヘッドスピードの次にゴルファーがよく見ているのは「バックスピン量」ではないでしょうか。
ゴルフボールは空中を飛んでいる際に後ろ向きの回転がかかっており、これがボールに対する揚力を生んでいます。
揚力とは上に持ち上げようとする力ですので、バックスピンが多いとボールは上に飛びやすくなります。
飛距離を最大化するためには非常に重要ですが、一部少ない方が良いと誤解されている方もいます。
バックスピンが多すぎればボールが上にあがりすぎてしまい、前に飛ぶ力が弱くなってしまうことは確かですが、少なすぎればボールはすぐに落ちてしまいます。
卓球の無回転サーブをイメージしてもらえば良く分かると思いますが、ゴルフにおいてもバックスピンが少なすぎると「お辞儀をする球」なんて表現もよく耳にします。
どちらかと言えばバックスピンが多くて飛距離を損している方の方が多いですが、近年のゴルフボールは以前のボールに比べてバックスピンがかかりづらくなっているという傾向もあります。
ですから、単純にバックスピンが少ないことを喜ぶのではなく、適正な値かどうかを知ることが大切です。
★ではドライバーショットにおいて適正なバックスピン量はどのくらいでしょうか。
ズバリ結論から言うと2,800~3,200回転/分ほどです。
と言いたいところですが、これはあくまでも私の場合の値です。
打ち方がそれぞれ異なるので、適正なバックスピン量というのはゴルファーによって異なります。
「飛びの3要素」とは前回も書きましたが、「ボール初速」「打ち出し角」「バックスピン量」のことです。
ボール初速は単純に速ければ速いほどボールは遠くに飛びますが、打ち出し角やバックスピン量は多すぎても少なすぎても飛びません。
そして今回のテーマであるバックスピン量は、ボール初速によっても打ち出し角によっても適正な値が変わります。
ボール初速が速ければそれだけで揚力が大きくなるので、バックスピン量は必要とされなくなっていきます。
打ち出し角についても、打ち出しが低ければ必要とされる揚力は大きくなりますし、高ければ少なくなります。
私の場合は、ボール初速が60m/s前後、打ち出し角は9°前後なので、上記のような3,000回転/分くらいのバックスピン量で最大飛距離を得られます。
この打ち出し角による差はかなり大きいので、バックスピン量を気にする際は必ず打ち出し角を一緒に確認しなくてはいけません。
私はドライバーでも結構ダウンブローに打つので打ち出し角が低くなりやすく、その分バックスピン量が必要となります。
逆にアッパーブローに打って打ち出しが14度くらいあるような方であれば、同じくらいのボール初速でも2,500回転/分くらいが適正と言えます。
★打ち出し角とバックスピン量は特にロフト選択のときによく見てください。
「このクラブは低スピンでよく飛ぶ」「これはスピン量が多すぎて前に飛ばない」
これらも試打会ではよく聞く言葉です。
確かにヘッドにより同じ人が打ってもバックスピン量は変わります。
しかしバックスピン量ばかりを見てヘッドを決めると後で痛い目を見ます。
なぜならつかまり具合というのも変わるからです。
このつかまり具合がご自身のスイングに合っていないと、左右の方向性のバラつきが大きくなってしまいます。
「飛ぶけど曲がる」というドライバーのお悩みを持っている方もたくさんいらっしゃることでしょう。
バックスピン量だけを見てロースピンモデルの方が飛距離が出ているとしても、方向性がバラついて狙ったところに打てなければ本末転倒です。
打ち出し角やバックスピン量というのは高さに関わることですから、ロフトによっても調整することが可能です。
モデルによって方向性をある程度確保した状態で、ロフト調整によって打ち出し角度とバックスピン量の適正なバランスを見つけましょう。
ロフト1°の調整で打ち出し角は約0.6°、バックスピン量は300回転/分ほど変わります。
またそもそもの高さというのもゴルファーによって好みがあります。
ローフェードが好きな方もいれば、ハイドロ―を打ちたい方もいることでしょう。
数字ばかりを見るのではなく、自分がどんな球を打ちたいかイメージを膨らませておくことも同じくらい重要です。
ゴルフショップで打ち比べる際は、ぜひそんなことも考えてみてください。
次のブログは年明けとなります。
みなさん、よいお年をお迎えください。
2020/12/24 11:00