スイングウェイトを気にしたことはありますか?
★みなさん、こんにちは。
ピンゴルフジャパン フィッティングスペシャリストの藤川です。
「スイングウェイト」という言葉をみなさんは聞いたことがありますか?
カタログには「バランス」という表記がされていますが、「D2」や「C8」といったようにアルファベットと数字一文字ずつで表されているものです。
簡単に言うと、スイング中に感じるヘッドの重さを表す指標のひとつです。
これは長年、多くのゴルフメーカーで用いられている指標です。
どうやって“スイング中に感じるヘッドの重さ”という抽象的なものを表現しているのでしょうか。
★ここまでご存じでしたらかなりのゴルフクラブマニアです。
一般的に14インチ方式というスイングウェイト計が用いられていますが、ゴルフショップで見かけたことのある方もいらっしゃるでしょうか。
スイングウェイトの定義は次のように決められています。
まずクラブ全体の重心位置と、計測の支点となるグリップエンドから14インチの部分までの距離(下図①)を測ります。
次にクラブの総重量(下図②)を測ります。
この①距離×②重さの積は、支点を中心とした回転の力(下図③)の強さを表しています。
この回転しようとする力こそがスイングウェイトの正体です。
主にヘッド・シャフト・グリップの各パーツの重量が変わること、クラブの全長が変わることでスイングウェイトは変動します。
しかし1ポイントの変化を全て同じ意味で捉えてよいのでしょうか。
ヘッド重量は、ほんの数グラムの変化でもパフォーマンスに大きく影響を及ぼします。
重心位置が変わることでボールのつかまり具合が変わったり、スピン量が変わって飛距離に差が出たりすることもあります。
シャフト重量の変化はパフォーマンスというよりも、振り心地への影響が大きくなります。
クラブが重すぎても軽すぎても振りにくくなりますから、適正な重量になるようにはシャフト重量で調整するのが良いでしょう。
ぜひフィッティングでは、重さ違いのシャフトを打ち比べてください。
逆にグリップの重量というのは、あまり影響を与える要素ではありません。
太さであったり、素材の質感であったり、握り心地がよく違和感のないものを選択するのが良いでしょう。
そしてクラブの全長はミート率に大きく影響します。
違和感のある長さではミート率が悪くなり、パフォーマンスを落としてしまいかねません。
特に地面から打つアイアンにおいては、体型を考慮に入れて適正な長さを選んでください。
★大事なことは数字だけを気にしすぎないことです。
これは前回も触れたことですが、最初に数字を合わせにいくことはやるべきではありません。
例えば現在お使いのクラブが振りやすくて気に入っているとしましょう。
そのクラブのスイングウェイトが「D2」だったからといって、新しく買うクラブを「D2」にする必要はありません。
候補のクラブが「D5」だったとしても、すなわち重たく感じるようになるということではありません。
「スイングウェイト=スイング中に感じるヘッドの重さを表現する絶対的な数値」と思っていたらそれは誤解です。
同じヘッド、同じシャフト、同じグリップ、同じ長さのクラブが2本あったとします。
これを計測したところ、一方がD2で他方がD5であったならば、D5の方が重たく感じるでしょう。
しかしそもそも異なるヘッド、もしくは異なるシャフト、もしくは異なるグリップ、もしくは異なる長さのクラブでD2のものとD5のものとでは比較になりません。
他の要素の方が影響が大きいからです。
私はよくスイングウェイトを調味料に例えます。
豚骨ラーメンと醬油ラーメンではかける胡椒の量は異なりませんか?
豚骨ラーメンに胡椒ひと振りと、醬油ラーメンに胡椒ふた振りとで、どっちの方が辛いかって誰にも答えられないと思います。
でも作るときのレシピには、細かい調味料の量であったり麺の茹で時間であったりは、正確に決めておかなくては同じ品質で作ることが出来ません。
同じようにゴルフクラブのスイングウェイトも作るときに大事なレシピです。
どうしてもヘッド・シャフト・グリップそれぞれのパーツにわずかな個体差があります。
それが完成品になったとき差が出ないように、スイングウェイトを基準にして作っています。
PINGのクラブはドライバーでもアイアンでも、グリップまで装着してクラブが組みあがった後、最後にウェイトを装着してスイングウェイトを合わせています。
調味料のかけすぎには十分ご注意ください。
2020/11/12 11:00