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フィッティングを工学的根拠に基づいて考えてみる

★みなさん、こんにちは。

ピンゴルフジャパン フィッティングスペシャリストの藤川です。

このところ社内に新入社員が増えており、9月にはフィッティングチームにも2名の新人が入りました。

新入社員向けの研修では、フィッティングだけにとどまらず、ゴルフクラブの基礎知識や「そもそもゴルフってなに?」という内容も担当しています。

ゴルフ用品メーカーといえど、総務部や経理部といったどこの企業にでもある部署というものも当然存在し、そのようなセクションでは必ずしもゴルフをプレーする方が入社するとは限らないのです。

そのような研修用に、改めて資料を見返したり作り直したりしていて気付かされたことがあります。

ピンってエンジニア企業なんだな、ということです。

★ピンのフィッティング理論もエンジニアが構築しています。

ゴルフクラブのフィッティングは、ピンの創業者であるカーステン・ソルハイムが始めました。

彼はピンの創業当時、ゼネラル・エレクトリックという総合電機メーカーに勤めるエンジニアでした。

彼は経歴の中で得た、様々な工学の知識をもってゴルフクラブの開発をおこないます。

そしてアイアンを開発する中で、アイアンの長さとライ角には非常に密接した関係性があることに気付いたのです。

一般的に番手により長さが異なりますが、長い番手ほどボールから離れるのでフラットに、逆に短い番手ほどボールに近づくのでアップライトに作られています。

ところが当時はライ角への理解というのが浅く、ゴルファーは番手によって右に飛びやすかったり左に飛びやすかったりするものを、クラブによって打ち方を変えることで克服していました。

そこで彼のフィッティングは、セットの中で最も狙った方向に打ちやすい得意な番手を聞くところから始まりました。

その得意な番手に対して他の番手のライ角を調整することで、どのクラブも同じスイングで同じ方向に飛ばせるようになったのです。

彼はエンジニアだったからこそ、物理的な原則に基づいてライ角のフィッティングをおこなったのです。

これはカラーコードチャートとして、現在のフィッティングにも引き継がれています。



★カーステンのポリシーは今も脈々と受け継がれています。

現在でもフィッティング理論は、エンジニアたちが工学的な事象として研究しています。

例えばドライバーの掴まりに関して、ロフト角が大きいと掴まりやすく、逆にロフト角が小さいと掴まりづらいという考え方があります。

物理的な現象として、同じスイングをして同じところに当たった場合、ロフトによる違いはボールの打ち出し角とバックスピン量です。

つまり高さに関係する要素だけであり、左右の方向性にほとんど差異は生じません。

ところが同モデルのロフト違いを打ち比べると、掴まり具合に差が出るというケースはゼロではありません。

ひとつはロフトが立っているモデルを構えると、無意識にボールを上げようとフェースを開いてインパクトしてしまうというケースです。

つまり見た目に反応して打ち方に変化が生じてしまうというケースですが、どのようなゴルファーもしくは状況下でこの反応が起こるかは科学的に立証されていません。

もう一つのケースは、ロフトによって重心設計を変えているという場合です。

他社メーカーには、ロフト角によって装着されているウェイトの重量が異なっていたり、ヘッド形状やヘッド体積が異なっているというモデルもあったりします。

このようなケースも珍しい事ではありませんが、ゴルファーにとって分かりやすくするためにロフト角による掴まりの差をつけているだけで、ロフト角そのものの差により掴まりが変化するわけではありません。

つまりボールの掴まり具合によってロフト角を選択するというフィッティングは、工学的根拠に基づくフィッティングではありません。

ドライバーの掴まりは、重心設計によって変化するのです。

★G425MAX/LSTドライバーには可変式のウェイトが装着されています。

G425MAX/LSTドライバーの後方部に付けられたウェイトは、掴まりに変化を持たせるためのテクノロジーです。

G425MAXはウェイトの移動によりおよそ0.09インチ(=約2.3mm)、G425LSTはおよそ0.07インチ(=約1.8mm)重心位置が動きます。

そして重心位置0.01インチ(=約0.25mm)の変化で、概ね1ヤードほど左右の方向性に影響が出るという研究がなされています。



これらはあくまで一つの例ですが、ピンの提唱するフィッティングは全て何らかの科学的な根拠に基づいています。

私自身はエンジニアではないので、物理的な現象を正確にお伝えすることは難しいですが、実証されたものだけがフィッティングに取り入れられています。

今日現在も様々な研究が進められているので、いつの日かまた新たな事実が発見されたときに、新しい正しい理論をご案内したいと思います。

2021/09/09 11:00

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