みなさん、こんにちは。フィッティングスペシャリストの藤原です。
今回のテーマはゴルフクラブの慣性モーメントについてです。
慣性モーメントとは、物体の回転しづらさを数値化したもので、
慣性モーメントが大きいほど、その物体は回転しづらいということになります。
ゴルフクラブにおいては、この慣性モーメントというのが、実は非常に重要なんです。
慣性モーメントとは、基本的に回転するもの全てに発生します。
①ヘッド左右の慣性モーメント・・芯を外して、トゥ側、ヒール側でヒットした場合のヘッドの回転。
図のようにフェースのトゥ側でヒットした場合はヘッドは時計まわりに回転する。ヒールは反時計まわり。
インパクト時のフェースのブレは少ない方が当然、方向のブレも少なく、飛距離のロスも少ない。
※左右の慣性モーメントが高いクラブは基本的には重心が深いクラブです。
②ヘッド上下の慣性モーメント・・芯を外して、フェースの上部、又は下部でヒットした場合のヘッドの回転
図のようにフェースの上部に当たるとヘッドが反時計まわりに回転をする。
その結果打ち出し角が高くなる。逆にフェースの下部に当たるとヘッドは時計回りに回転しようとするため、打ち出し角は低くなる。
要は上下の慣性モーメントの低いクラブは球の高さが安定しない。
※上下の慣性モーメントが高いクラブは基本的には重心が深いクラブです。
③ネック軸周りの慣性モーメント・・ネックを支点したヘッドの回転(フェースの開閉)
ゴルフスイング中のクラブヘッドはテークバックではフェースを開き、ダウンスイングでは、フェースを閉じて使います。ネック軸周りの慣性モーメントが高いということはヘッドが急激に開いたり、閉じたりしにくいため、オートマチックなスイングをしやすい。
※ネック軸周りの慣性モーメントが高いと、フェースの開閉が制御されるため、意図的にフェースを返したり、開いたりすることがやりにくくなります。オートマチックになる分、操作性は損なわれます。オートマチックを取るか、操作性を取るかはゴルファー次第でしょうか。
基本的には重心距離の長いクラブはネック軸周りの慣性モーメントは高いです。
④クラブ全体の慣性モーメント・・スイングアーク、円運動です。
慣性モーメントは特性上、数値が高ければ、高いほど動きにくいが、一度動き出したら、止まらないと特性があります。
クラブ全体の慣性モーメントが高いクラブは、クラブを一度プレーン上に乗せることができれば、スイング軌道が安定し、毎ショット同じスイングをすることが可能です。
※自分の力以上の重いクラブや極端な長尺シャフトを振った場合、ゴルファーがクラブを制御できないためダフッてしまったり、気持ち良く振りぬくことができません。上手く振りぬけない場合は、自分の力<クラブ全体の慣性モーメント という状態です。
クラブ全体の慣性モーメントについてはスイングの再現性と振りごこちのバランスを考えて、適度な重さ、適度な長さのクラブを使うことが重要です。
色んなスイング(フェード・ドローなど)の打ち分けをしたい方はあえて、低い状態(軽め、短め)にセッティングするのもありです。
追記
私もクラブだけでなく、駒のように軸のブレないシャープなスイングをしたいものです。